伝える…次世代へのアプローチ

日蓮宗東京都南部宗務所
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「伝える」ための実践講座 第5回報告
主催;
日蓮宗東京都南部宗務所
企画;東京都南部教化センター
共催;東京都南部 布教師会・修法師会・社会教化事業協会・声明師会

「伝える」ための実践講座もいよいよ最終回となりました。講師は日蓮宗ビハーラネットワーク事務局長で、最近、老人介護事業を専門に扱う有限会社「妙徳ビハーラ」(グループホーム・訪問看護・訪問介護・ケアプランセンター)を設立された妙徳教会教導 今田忠彰師です。
 本講座は、「葬儀や法事でお寺にやってくる未信徒に対していかに有効な布教をするか」という目的でスタートしました。その総括の意味も含めて「法事・葬儀はいのちの現場」というテーマでお話いただきます。私たちが布教の最前線である法事や葬儀でどうやって「伝える」か。「実践講座」にふさわしい内容で締めくくっていただきます。

「伝える」ための実践講座 第5回 社会教化
                 平成16年2月23日(月) 午後1時〜5時
                             於 池上本門寺 朗子会館
                     参加者  名(南部  名、他管区  名)

第1部  講義 法事・葬儀はいのちの現場
             講師:日蓮宗ビハーラネットワーク事務局長 今田忠彰師

 (1)通夜・葬儀の現状

@東京都品川区にある桐ヶ谷斎場の場合、10件に2〜3件の割合で通夜・葬儀の法要・供養がなく、火葬のみ行われることがある。
A地味葬・密葬(本来の意味とは違う)・家族葬が多くなり、近親者のみで簡素に葬儀を行う傾向がある。
B喪主・親族が、通夜・葬儀の宗教的・一般的意義を全く知らずに、葬儀社の言われるままに行われる形式的な葬儀が増えていろ。
Cにわか葬儀社(葬儀を専門に扱っていない会社が葬儀を取り仕切る)が増えてきていて、社員の教育がしっかりと出来上がっていない状態で、形式だけを整えようとしているので、僧侶の側からの指導が必要な一面もある。
こういったことに対してか、厚生労働省で「葬祭ディレクター」という資格ができた。
D散骨・自然葬など、宗教的な意義を知らない習慣が、さも時代の最先端をいく「かっこいいもの」のように吹聴されている。僧侶の側から社会に警鐘を鳴らす必要がある。

(2)通夜・葬儀での僧侶側の問題点-仏教情報センターへの電話相談も含む


@主体性がなく、葬儀社の言われるままに儀式を執行する。
  その結果、葬儀社に「お坊さんは大した仕事もしていないのに大金を持っていく」などと言われる。
A法要後に、説教・法話・挨拶などがほとんどなく、戒名の説明すらない事もある。
B通夜の席で、喪主・遺族と初めて、又は久しぶりに会う。
C通夜・葬儀の席での主な相談事は、戒名料・お布施の金額についてのことが多い。
 電話相談で、「お寺に**万円とられた」という表現での苦情もある。
D通夜・葬儀・法事の時にしか僧侶を見ることがないので、僧侶=葬式という
  発想が生まれてくる。(葬式仏教と言われても仕方がない?)

(3)私のビハーラ活動から
 通夜葬儀といのちは大きく繋がっていると感じるようになったきっかけ→
・1997年の春、今田師の先代の住職のところによく相談に来ていた涼子さん(仮  名)に対 するビハーラ活動
・1986年の夏、当時14歳だった姪の夕子さん、(仮名)に対するビハーラ活動
・第1回日蓮宗ビハーラ講座を受講した。
 これをきっかけに、その後は積極的にビハーラ活動を行っていった。

例 平成.5年に糖尿病が原因の脳内出血で倒れ入院していた吉田久男さんは、平成10年12月1日に脳幹部出血の為、植物状態となる。その後はその家族のケアのために毎日食料を持参で病院に通っていたが、6日に逝去された。通夜・葬儀後の初七日にその娘さんは今田師に打明けた。「父が倒れた今、縁談があっても、親を捨てては結婚できない。私はどうしたものか?と悩んだために父が早く死んだのではないか?」これに対し今田師は「私が父親だったら、5年間も看病してくれたのだからもう十分だよ。ありがとう。早く幸せになってください。と、感謝してると思うよ」と、答えた。

(4)『ビハーラ活動』とは

@ビハーラ活動とは、医療や福祉や地域社会との連携の下に、寺院において、自宅において、あるいは病院や施設において、病気・障害・高齢などに悩む人たちと苦しみをともにし、精神的・身体的な苦痛を取り除き、安心が得られるように支援する活動。

Aビハーラとは、古代サンスクリット語で、寺院・精舎・僧房・静かにとどまる・休養の場所、などの意味がある。

Bわが国日本では「ビハーラ」にさきがけて、「ホスピス」が知られている。
 当初、「仏教ホスピス」という名称を用いていたが、仏教独自の名称を求めて、長岡西病院の田宮仁師により「ビハーラ」という呼称が提唱された。

C「ホスピス」はもっぱら病者を対称としているのに対して、「ビハーラ」は病者・障害者・高齢者そ対象としている。

(5)仏教の生命観−−『法華経』如来寿量品の教えから

「久遠の釈尊の生命観」…永遠の生命・すべての生命は御仏の命を生きている。
「良医治子の喩え」…良医・愚児・良薬・毒薬(貪・嗔・痴の三毒)
「願生」の意味…願って悪趣に生まれる。「使命」に生きる。
人生の最終目的は、成仏(仏に成ること)である。
仏に成るためには、様々な営み・修行(菩薩行)がある。

(6)宗祖のご遺文『妙心尼御前御返事』より
 「この病は御仏の御はからいか。その故は、病ある人は仏になるべきよしと説かれて候。 病によりて道心は起こりて候か」
 あまり信仰に感心がなかった人に対しても、病気をきっかけに信仰に励んでもらいたい時にこの御遺文を使って話をしてみる。
 (7)宮沢賢治の「デクノボー(常不軽菩薩)精神」−−理想は「常不軽菩薩の姿」
@『法華経』常不軽菩薩品の教えから
A『雨ニモマケズ』から

(8)「ビハーラ活動」の思想的根拠

@法華菩薩行としての活動…お釈迦様の教えをこの世の中に弘めていくことが使命。ビハーラも同じ事である。私たちの日常の活動は、みるビハーラ活動に通じているとも言える。
A立正安国を実現する為の活動
B福田思想…善き行為の種を蒔いて、悟りの功徳の収穫を得る田畑としての活動。
 仏教の社会的実践の基本として展開した。
C重要な基本…仏教が社会に役立つ一番の活動とは、仏教を社会に弘めること。
        一般の社会事業・慈善事業・福祉事業との違い・特色を知る事。               
 (9)仏教の「ビハーラ活動」の歴史

  @お釈迦様の時代…祇園精舎の中に病院があった。「ギバ」の存在。
  Aアショカ王の時代…療養院の運営。薬草の栽培。
  B聖徳太子‥・四天王寺の四箇院・救貧救療施設があった。
  C行基菩薩…看病僧であった。
  D鑑真和上…僧医であった。
  E光明天皇…東大寺に悲田院・施薬院を開設
  F鎌倉・室町時代まで救貧救療施設が民衆を救う
  G源信…「往生要集」…ターミナルケアの原点
  H江戸時代も救貧救療施設が散見される
  I日遠聖人…『千代見草』にターミナルケアについての詳細な記述が見られる
  J長岡西病院…ビハーラ僧が常駐している。
  K日蓮宗生命倫理研究会・日蓮宗ビハーラネットワークの活動。

 (10)ビハーラ活動において本人へのケア

          (平成11年に作られた「日蓮宗 お見舞いの手引き」参照)
 傾聴する事(相手の話を妨げずにじっくりきいてあげること)が第一である。
 @檀信徒や知人に対して病院に入院したなどの情報収集能力をもつ。
 A日ごろから患者との交流・信頼関係を作りあげておく事が基本。
 B住職の見舞いを喜んでもらえるような、信仰を基礎にしたお見舞い活動。
 C病院の方針・周囲の患者に対して配慮しつつも、法服を持参する。
 Dジャマにならない程度のお守りを持参し、タイミングよく渡す。
 E宗祖のご遺文・易しい法華経のお話をする。
 Fともに合掌・唱題し、信仰を共有する…僧侶のお土産は「信仰」
 G決して希望を捨てない事。(患者の様々な心理状態を理解してあげる)
 H病気は信仰への導きのきっかけになる。


  (11)親族・遺族へのケア
@患者の逝去によりビハーラ活動は終わらない。次に、ビハーラ活動の対象は親族・遺族に替わってくる。
A臨終経・通夜・葬儀・法事(七日・七日の供養)は、グリーフケア(悲嘆を癒す活動)の大事な場面、と心得る必要がある。
B僧侶の代わりに葬儀社・病院がグリーフケアを担当する事がある。

(12)通夜・葬儀・法事は生きた「いのち」を扱う重要な布教の現場と心得よ!!

@菩提寺の住職の本当の役割を教える。
A牧師・神父は臨終に立ち会います。(東京都生活文化局「葬儀」に記述がある)
B臨終経・霊安室での供養・枕経など、通夜の前にできるだけたくさん読経する。
Cなるべく法話をする時間を作るように心がける…信仰の縁を結ばしめる活動の場
D荘厳で厳粛な法要は、人々の心に通じるものが必ずある。

(13)余談ですが、私が老人介護事業を始めるきっかけは・・・

@母親を施設に入居させたかったが、希望に沿う施設が無かった為に、平成5年から14年に母親が逝去するまで自宅で介護してきた。
 平成12年に介護保険制度ができた時、老人介護についての知識と経験を生かして、何か社会的貢献活動ができないものか?と模索した。
A「住み慣れた自宅で死にたい」という希望を訴えるお年寄りが多い事。
 しかし、現状では8〜9割の方が病院か施設で亡くなっている。
 在宅医療・訪問者護・訪問介護があったら、希望を叶えてあげられたのに。
B年に数回、地元の不動産屋に、孤独死の供養を頼まれ、その悲惨さを知る。
在宅医療・訪問看護・訪問介護があったら、孤独死などしなくてすんだのに。と思っていた。

第2部 グループホームのビデオを見て…

・グループホーム=痴呆性高齢者共同生活介護
・少人数の痴呆高齢者が、家庭的な環境の中で、スタッフの援助を受けながら共同生活を送
 るところです。
・家事などの日常生活を通じて、残された能力を引き出す事で、高齢者の表情や行動が落ち
 着き、痴呆の症状を和らげる効果があるといわれています。
・利用できる方は、介護保険の要介護度が1〜5で、痴呆のある方、共同生活ができる方、
 常時医療を必要としない方。
・高齢者で痴呆が進むと自宅介護では家族の負担が大きいが、大きな施設では一人一人の個
 性に合った介護ができない。そこで、共同生活が可能な痴呆の高齢者が落ち着いた家庭的
 な雰囲気の住まいにグループで住み、それぞれの個性と能力を発揮しながら暮らしていく。
・スタッフも常に入居者に気を配っているが、できるだけ手伝わないで(見守ることが主)
 本人にいろいろな事をしてもらうようにしている。
・家族と離れて暮らしているので、時々は家族と面会することで、家族との絆が強くなる。
・地域との繋がりのある生活の場である。

  ※高齢者介護の事で悩みがありましたら、今田までご遠慮なくご相談ください。
             お手伝いさせて頂きます。

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